セキセイインコ15羽 準レスキュー

◆実施日:2021年7月9、16、30日

 

◆鳥種と羽数:セキセイインコ15羽

 

◆理由:放し飼いで増え飼育困難

 

 

 



◆経緯

・2021年7月初旬

ご高齢の女性からご相談がありました。ペットショップでセキセイインコ購入し、放し飼いで飼っているがオスメスが放し飼いのため増えすぎて困っている、タンスの裏などに入り込んでタンス裏は巣状態で自身では捕まえる事が出来ないとの事でご相談をいただきました。現段階で17羽居るとの事でオスメスが放し飼いであればさらに増えてしまう事が予想されたので早急に引き取るために準備を始めました。

ですが羽数が羽数ですし本当に17羽なのか、他にタンス裏などに雛はいないかなども含め一度視察へ行くことに。

 

 

放し飼いの鳥はオスと思われる子が3羽、メスが2羽の合計5羽いました。(1羽はタンスの裏に隠れています)

ケージ、プラケで飼われている子達もいました。

全て黄色い子達は放し飼いの子達の子供との事でした。合計12羽いました。


・7月16日

 飼い主様はご高齢でご自身では検査に行くことが出来ないためにこちらが代わりに検査機関へ出す必要がありましので早速検体取りに向かいました。

まず初めに放し飼いの子達を捕まえなくてはいけません。網も持参しました。

放し飼いのため人には慣れておらず、飛ぶのがとても上手な上にタンスの隠れてしまいてこずりました。

中々出てこなかったため、最終的に許可を得てタンスをずらして全羽確保に成功。

そこから検体取りに入りました。検体取りも単純に羽数が多いので時間がかかりました。

子どもたちは特に見た目が黄色でよく似ていたので一羽一羽に足環も装着していきました。

放し飼いだと増えてしまう恐れがあったのでコチラがケージを5つ持参し元あったケージに合わせて6ケージに2、3羽に分けて結果が出るまで過ごしてもらう事にしました。



◆現場の様子


環境としては鳥達の好き放題という感じでタンスの上には大きな穴、ここも巣のように使っていたのではないでしょうか、タンスの裏も見ましたが壁紙をはがし巣材のようにしていて大きな巣状態。実際にペアの子が入り込んでいました。

部屋の隅や化粧台の裏などには糞が堆積していました。部屋にはエアコンがなく7月という事もあり作業中は汗だくになりながらの作業で鳥達にとっても夏や冬は過酷な環境だったのでないでしょうか。

ごはんはシードが中心で食べ放題、他にも青菜もあげていただいていたようでケージの上に置かれていました。

 

・7月30日

検体を検査機関に出し、7月下旬ごろ結果が出ました。この環境で若い子がほとんどなので何か感染症なのではとスタッフ一同ヒヤヒヤしていましたが、全羽陰性との事でスタッフ一同一安心しました。

飼い主様はお体が悪くお掃除なども満足に出来ない状態でしたので30日に引き取りに向かいました。

全部で17羽居ましたが飼い主様がメス2羽は残したいとの事だったので2羽は残し15羽準レスキューとなりました。

 

 


レスキュー後の様子

 

検査では陰性で異常はありませんでしたが、引き取り後環境の変化で体調を崩したり、病気が出てきてしまったりという事もありますがこの子達はそのような事はありませんでした。

放し飼いの子達はやはり人には慣れていませんでしたが、ケージ飼いの子は慣れいる子もいて、

下の写真のように乗ってきてくれる子もいました。

病気などはありませんでしたが、しいて言うならごはんがシード食べ放題だったので太り気味の子が多かったという事でしょうか。現在はペレット食を目指して切り替え中の練習中です。

定期的に体重測定もしていてご飯も制限をして与えています。

 



◆レスキュー後の様子



◆里親会にも出ています。

どの子も若く綺麗な子ばかりです。

名前は黄色い子が多いのでスパイスの名前を付けました。

ありがたい事に現在何羽かお声がけいただいております。

皆様もご興味をお持ちいただけましたら里親会に参加いただければ嬉しく思います。

(里親会開催情報は随時ホームページで掲載していきます。)

 

 


◆今回の準レスキューを通して

 

飼い主様は鳥がお好きな方で、ごはんやお水、青菜などもあげていて、鳥達が自由に飛び回り各々が自由に過ごせる飼い方をしてあげたかった。と飼い主はおしゃっていました。

話をいただいた当初は、「なぜ放し飼いで飼うのだろう」「無責任だな」とも思いましたが、

飼い主様のお話を聞いているとこれも愛情の一つの形なのだと思いました。

今回はお世話をしてくださる飼い主様もいらっしゃったのでと鳥達の命に関わる緊急性の高いものでは無かったですが費用の負担をしていただく事が難しいかったので(生活保護を受けられていたため)準レスキューとなりましたが、飼い主様からご連絡をいただかなかったらこれ以上の羽数になり、大がかりなレスキューになっていた事でしょう。

もちろん飼い主様ご本人にも責任はあると思いますが、購入先のショップさんにも説明不足といった責任はあると思います。

ご連絡をしてくださった飼い主様の勇気に感謝いたします。

引き取る際に飼い主様は何度も「ありがとう、ありがとう、」と頭を下げてくださいました。確かに放し飼いでのメリットもありますがそれ以上に今回の様なこと、事故などのデメリットの方が多くあります。

今回の引き取りを終えてそれを改めてこの身に感じました。

 

放し飼いで飼われている方は少なからずいらっしゃると思いますので、今回の事を踏まえさらに放し飼いについてのリスクなどを皆様にお伝えできればと思います。